平素より Purudo.net(以下 本誌)をご愛読頂きありがとうございます。
本日は、本誌が2022年6月25日に公開いたしました記事『【危険製品】Anker 736 Charger (Nano II 100W) をチェック どうしよう出来が悪すぎる』について、本誌より重要なお知らせがございます。
2022年7月5日18時35分(JST)、Anker より『「Anker 736 Charger(Nano II 100W)」に関するお知らせ』と題するリリースが発表されております。
このリリースは、本誌が先日公開した Anker 736 Charger(Nano II 100W)の記事において、「3Aケーブルを使用した場合においても、20V/5Aの電力を供給できる」という内容を Anker が調査し、その結果を公開しているものです。
同社は以下の通りの声明を発表しています。(原文のとおり)
本製品は法的に求められているPSE認証を取得しており、またUSB-IFが定めたUSB Power Delivery(以下USB PD)への互換性があり、PCへの充電など通常のご使用においては本事象の再現性はなく、安全にお使いいただけます。
なお、PCの充電など通常の使用環境下では、3Aを超える電流をシンク側(PC等デバイス側)が要求する場合、ソース側(充電器側)が接続したケーブルのeMarkerの有無を確認し、シンク側に供給可能な電流の範囲を送信します。シンク側はその範囲で最適な負荷電流を決定します。しかし、電子負荷装置を用いた特殊な環境下で、シンク側(電子負荷装置)がその電流の範囲を無視し、仕様以上の電流を強制的に要求することで、ソース側である本製品から5Aの電流を引くことは理論上可能です。
以上を踏まえ、一般的にお客様がPC等のデバイスを本製品で充電される際に過電流になるリスクはなく、本製品は法的に定められている過電流保護機能を備えており、安全にご使用いただけます。また、現時点でお客様から事故報告は一件もいただいてはおらず、法的にも求められておりませんが、上記のような特殊環境において本事象の再現が可能であることを鑑み、本日以降に製造する本製品について、さらに安全にお使いいただけるよう、接続しているケーブルがeMarker非対応の場合も、ソース側でも制御する仕様にアップデートをしております。
繰り返しになりますが、本製品をご使用のお客様におかれましては、PC等の充電等一般的な使用の範囲においては、同様の事象は発生しませんのでご安心ください。もし本日までにご購入いただき使用にご懸念がある場合は、製品購入後30日以降でも返金対応を致しますので下記弊社カスタマーサポートまでご連絡ください。
Anker の調査によると、電子負荷装置を用いた特殊な環境下でのみ本誌が報告をあげた症状が発生することを確認したということです。この症状は通常使用では発生しないことから、安全性に問題はないとされています。
また、このような特殊な環境下でも過電流保護が有効に動作するよう製品の改良を行う旨も合わせて表明されています。さらに、販売済みの製品において、不安がある購入者に向けて返金対応も行われるということです。
・本誌より
今回、本誌が公開した記事により、数多くの消費者の方に混乱を生じさせてしまったことをお詫び申し上げます。
また、製品販売元である Anker Japan 様にも、カスタマーサポート、製品検査の再実施など想定外の業務を生じさせてしまったことをお詫び申し上げます。
本日公開されました、上記リリースの内容と、本誌で実施したテストで発生した事案を照らし合わせても、事実に沿わない項目はなく、本誌として何らかの情報を追加する必要性はないと考えています。
また、既に公開しております記事に関しましては、修正を加える予定です。
・事態の経緯
本誌は、リリースにも記載がある通り「特殊な」環境において試験を行い、それを基に記事作成を行いました。
本誌が使用した「負荷抵抗器」と呼ばれる機材は、製品の設計時や耐久試験などに使用する業務用機材です。そのため、リリースにもあるとおり、通常では発生し得ない状況を作り出すことが可能なものです。
本誌が行ったテストにおいて、該当製品で見られた「3Aケーブルを使用した場合においても20V/5Aの電力を供給できる」という現象は、過去の Anker 製充電器をはじめ、他社の USB-C 充電器では一度も確認したことがありませんでした。そのため、今回の挙動が通常とは異なる「異常なものである」と判断しました。
この挙動が、一般的な使用環境においても発生する場合、接続した製品を破損させてしまうリスクがあります。このことから、本誌では実製品を使用して、「3Aケーブルを使用した場合においても20V/5Aの電力が供給されるのか」については、確認を実施いたしませんでした。
しかしながら、通常使用では問題がないこと(メーカー声明)、USB-PD 規格上も3Aケーブルであっても、20V/5Aを流しても問題はないとの見解もあるため、規格違反品として扱うには根拠が不適切でした。
・今後の対応
先述の通り、公開した記事に関しては修正を加えさせていただきます。(修正にはお時間をいただく予定です)
記事の修正にあたっては、本誌の検証環境が一般の使用を想定した環境ではないこと、USB-PD 規格の仕様書にある記載をより明確に記載する対応を行います。
また、メーカーより改善版のリリースが予告されていますので、公開済みの記事の作成に使用された製品が、初期ロットであることを読者に明確にわかるよう記載いたします。
最終評価につきましても、上記を踏まえ一定の上昇が行われます。
但し、過去の Anker 製 USB-C 充電器の挙動との整合性からも、特殊環境下であったとしても、保護機能が正常に動作する必要があると考えるため、その方針に変更は行いません。
また、記事の修正の影響を受けるのは、当該製品のものに限定されており、その他の記事について変更が加えられるものではありません。
リリース原文:【アンカー・ジャパン】「Anker 736 Charger(Nano II 100W)」に関するお知らせ
以 上
2022/07/05
Kazuto Tanabe